外国映画 Archive

揺籃の波に浮かぶ

amazon:[Blu-ray] ボーン・アルティメイタム  マット・デイモン主演、「ボーン・アルティメイタム」を観た。
 モスクワにて満身創痍のジェイソン・ボーン。応急処置のために飛び込んだ洗面所でまたもやフラッシュバック。水を湛えた水槽に叩き込まれる男。あれは自分か?
 自分が知らなければならないことがあの場所にあるなら、必ず辿り着いてやる。もう逃げない。置いて行かない。必ず"自分"を見つけ出す。
 ロンドンでひとりの男が携帯電話での会話中、ある単語を口にする。「ブラックブライアー」がそれだ。エシュロンがこれを発見、男はCIAの対テロ極秘調査局の監視対象となる。男はガーディアン紙の記者だ。サイモン・ロスはCIAの"トレッドストーン"計画とそれが生み出したジェイソン・ボーンを追跡調査していた。そのサイモンが発した一言が彼自身を窮地に追い込む。
 緊急事態の勃発にCIAの対テロ極秘調査局と内部調査局とが合同で作戦行動を行う。組織の中でも最重要機密である"ブラックブライアー"について漏洩のおそれがある。それにジェイソン・ボーンの関与が疑われる。この男についてはそろそろ決着をつけなければならない。

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さわるな危険!

amazon:[Blu-ray] ボーン・スプレマシー  マット・デイモン主演、「ボーン・スプレマシー」を観た。
 ベルリンでひとつの取り引きが行われようとしていた。過去に多額のCIA資金が失われた事件があり、この取り引きではそれに関する情報を得られるはずだった。その現場が襲撃され、CIA局員と情報提供者が殺された。証拠書類は奪い去られ、ひとつの指紋が残った。それは二年前に失踪したジェイソン・ボーンのものだ。
 インドのゴアでマリーと暮らすジェイソン・ボーン。平和な日々を送る彼を苛むのは悪夢。断片的な映像が瞬くそれは、彼が取り戻せていない過去の記憶に繋がるようで。ある日、ボーンのセンサーに引っかかる男が現れた。マリーとともに逃げるボーンだったが、追跡者は悪路を走る車の運転手の頭部を正確に狙撃する。車もろとも橋から川へ転落したボーンとマリー。
 安らぎを与えてくれる唯一の存在を喪ったボーンは、封印していた人間兵器としての自分へと立ち戻る。あのとき、「追ってきたら殺す」と宣告しておいた。それが無視されてマリーは殺されてしまった。あの言葉がただのブラフでなかったことを思い知らさねばならない。決着は必ずつける。

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名無しの権兵衛

amazon:[Blu-ray] ボーン・アイデンティティー  マット・デイモン主演、「ボーン・アイデンティティー」を観た。
 記憶喪失の男が、自分は何者なのかを探るため、わずかな手掛かりをもとに"自分"を追跡する。記憶を取り戻すべく動き回る男は行く先々で問題を起こし、現地警察に追われる身となる。そして、そんな男をCIAも追うのだった。
 銀行の貸金庫に預けてあったのは大金だ。しかも世界各国それぞれの紙幣で。そして、名義の異なるパスポートが六通あり、しかしいずれも自分の顔写真が貼り付けてある。最後に一丁の拳銃が。世界各国の金を持ち、幾つもの名前と身分を有し、拳銃を所持するというのは、いったいどんな人間なんだ?
 主人公の正体について今更隠すつもりはない。本名はともかくジェイソン・ボーンの名前で呼ばれる男は、CIAによって養成された凄腕の工作員である。「トレッドストーン」と名付けられた計画の全貌は本作では明らかにされない。
 人間兵器製造計画"トレッドストーン"の被験者はボーンのほかにも登場する。いみじくも「被験者」と表したが、彼らは条件付けによって行動をCIAにコントロールされているようだ。彼らは絶え間ない頭痛と幻聴に苦しみ、作戦行動を終えるたびにあたかも帰巣本能がそなわっているかの如く帰還するようプログラムされている。ボーンと死闘を演じた"プロフェッサー"は、トレッドストーン計画によって変えられた自分自身と現状を悔いて、こんな生き物に変えたCIA上層部を恨んでいた。
 ボーンは記憶を喪失して組織のくびきからの自由を得た。しかしそれも仮初めの自由だ。本当の自由を手にするには決着をつけなければならない。

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嵐の前の腹ごしらえ

「遊星からの物体X ファーストコンタクト」公式サイト  ジョン・カーペンターによる1982年の「遊星からの物体X」は、正体不明の生命体による侵略を描いた傑作映画だ。この作品はSF要素を加味したホラー映画だが、その一方で類を見ない「犯人探し」を内包したミステリとしても高く評価できる。閉塞感高まる状況にあって盛り上がるサスペンスと、仲間同士で疑心暗鬼の生じるストレスは特筆モノ。そして余韻を残す結末には、作品としての枠内に収まりきらない物語性を感じさせられ、この作品に"怪奇の血"が流れているのを実感する。
 それから三十年。件の事件の前日譚と位置付けられる作品が公開となった。
「遊星からの物体X ファーストコンタクト」を観た。
 この作品は、アメリカ合衆国南極観測隊第4基地に一頭のハスキー犬とそれを追ってヘリコプターが飛来する、その直前までの出来事を描いた内容となっている。1982年のあの南極大陸を舞台にしたホラー映画だ。
 ノルウェー隊が、災厄の詰まった箱ならぬ宇宙船を発見し、そこから少し離れた場所に氷漬けになっていたエイリアンを自分たちの基地に持ち帰る。このことから惨劇は開幕する。
 世紀の大発見に色めき立つノルウェー隊。ここで生物学の権威が、欲に駆られて体組織のサンプルを所望する。未知なる生物を相手に、たとえそれが十万年ほど前に死んでいたとしても、その扱いに慎重になりすぎることはない。未だ危険性の有無すら確定してないのに手を出すのは危機管理の意識に乏しいのではないかと疑問を呈する者はいたが、学問の世界でも政治はある。キャリアの浅い者が何を云っても通じない。検体はドリルによって穴が穿たれ、異邦人の体は長い時間を経て刺激を受けた。
 その夜、ノルウェー隊が祝杯をあげるすぐそばで"それ"は目覚めた。

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GLUTTONY

amazon:[Blu-ray] 遊星からの物体X 「遊星からの物体X」を観た。
 本作は、ジョン・W・キャンベルJr.の「影が行く」を映画化した、1951年の「遊星よりの物体X」のリメイク作品。監督は「ハロウィン」のジョン・カーペンター、主演はカート・ラッセル。
 物語の舞台は、1982年の南極大陸。
 アメリカ合衆国南極観測隊第4基地に突然の闖入者。ヘリコプターが一頭のハスキー犬を追跡。この追跡者の所属はノルウェー隊のようだが、たかだか犬に向けるにしては大袈裟すぎる攻撃を繰り出す。銃撃、そして手榴弾。
 着陸したヘリは事故により爆発炎上。これにノルウェー隊のひとりが巻き込まれるが、残るひとりは同僚の死に見向きもしない。彼が狙うはハスキー犬ただ一頭。流れ弾がアメリカの隊員に当たり、なおもノルウェー人は攻撃を続けようとする。正気とは思えぬ沙汰に、アメリカ隊の隊長はやむなく異邦人を射殺する。
 ノルウェーからの訪問者には英語が通じなかったので、彼が生前に何を云っていたのかわからない。それにしても、彼が気違いであったとも思えない。不幸にして無線機が故障しているため、ノルウェー基地と連絡がとれない。事情を聴取するにはノルウェー基地まで行かねばならない。
 ノルウェー基地に出向いた隊員がそこで目にしたものは、廃墟と化した観測基地だ。出火の痕跡が見られるそこには、凍り付いた自殺者の死体があり、何かを取り出したと思しき氷塊があった。特に目を惹くのは、異様に変形し凝固した焼死体。一見しただけでこの人物がただ焼け死んだわけではないことが理解できた。
 事情を明白にするためにノルウェー基地までやって来たというのに、尚更にわけがわからなくなった。映像その他の記録と奇妙な死体を基地に持ち帰り、原因を自分たちで調べなくてはならない。
 なぜノルウェー隊は全滅したのか? 何がノルウェー隊に起こったのか?
 夜になって、襲撃から生き延びたハスキー犬を基地内の犬小屋に入れる。人の気配がなくなると、"それ"は正体を現した。

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弱肉強食のルール

「THE GREY 凍える太陽」公式サイト  リーアム・ニーソン主演、リドリー・スコットとトニー・スコットの兄弟が製作に名を連ねる作品、「THE GREY 凍える太陽」を観た。
 アラスカに不時着した旅客機。生き残った七人の男。大雪原の真っ只中に放り出されて、携帯電話は通じずどこにも連絡をとれない。救援があるのか定かではないが、このまま座して待つのは死への一本道。まず暖を採る。次に食料の確保。
 七人の男を大自然の猛威が襲う。極寒の地を吹雪が荒れ狂う。そして狼の出現。悪条件が重なるばかりで福音はどこにもない。ただただ白い世界が広がる。
 個人の力の及ばない状況にあって、それでも大自然に抗いつつ前へ進む男たち。そこに希望があると信じて足を踏み出すも、現実はそんなに甘くない。ひとり、またひとりと斃れてゆく。狼に屠られ、あるいは力尽きて、せっかく長らえた命を散らす。
 仲間の屍を踏み越えて辿り着いた先に男が見たものは?

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桶屋が儲かる仕組み

amazon:[DVD] ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ  ガイ・リッチー監督作品「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」を観た。
 ここ数年はロバート・ダウニーJr.をタイトルロールに据えた「シャーロック・ホームズ」シリーズでキャリア最高の興行収入をあげたガイ・リッチー。その彼の出世作となったのが本作だ。
 本作でモデルだったジェイソン・ステイサムが俳優デビュー。他にも元サッカー選手のヴィニー・ジョーンズにミュージシャンのスティングが出演する等、一筋縄でゆかないキャストが画面を彩る。
 本作はロンドンの下町を物語の舞台としている。折りしもロンドン五輪会期中だ。これを機会に本作を観るというのも面白いかもしれない。
 オリンピックといえば、開会式のカウントダウン番組に登場したベネディクト・カンバーバッチは、BBC制作のドラマ「SHERLOCK」でタイトルロールを演じており、ガイ・リッチーとは「シャーロック・ホームズ」で繋がりがある。このドラマも要チェックだ。

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へのへのもへじ

「フェイシズ」公式サイト 「フェイシズ」を観た。
 主演はミラ・ジョヴォヴィッチ。その美貌は目に力のあるところが特徴として挙げられる。いわゆる瞳美人だ。最近はアクション映画への出演が目覚しい彼女だが、本作ではむしろ暴力的に奪われる"弱い存在"を熱演。これもミラ・ジョヴォヴィッチという女優の器なのだ。
 そのミラ・ジョヴォヴィッチ演じるヒロインは、頭部負傷の後遺症として"相貌失認"を発症する。
 本作のチラシを読むと、"相貌失認"とは「人の顔や表情が判別できない記憶障害の一種」とある。
 京極夏彦『狂骨の夢』の作中人物にやはり相貌失認を発症した女性が出てくる。彼女とアンナとの違いは、その症状があらわれた時期である。
 本作のヒロインは、ある日突然に人の顔を見分けられなくなる。仲の良い友人も愛する恋人も、実の父親さえも正しく判別できない。そしてこれは他人に対してのみ起こるわけではなくて、鏡に映る自分の顔さえも見知らぬそれとして認識する。
 これまで積み重ねてきた経験は、その思い出自体を失ったわけではない。いつ・どこで・誰と・どんなことをしたか、ちゃんと記憶に残っているけど、「誰と」という点でその顔を思い出せないだけ。名前やその人物との関係性はわかるのだけれど、並んでともに笑顔を向けている写真の顔に見覚えがない。

 誰?

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2パーセントの紳士たち

「キラー・エリート」公式サイト  ゴールデンウィーク明けに日本教育会館一ツ橋ホールで試写会が催された。
 そこで「キラー・エリート」を観た。
 監督はゲイリー・マッケンドリー。ラヌルフ・ファインズの『キラー・エリート』を原作に持つ本作は、実際にあった暗殺事件に基づいているという。なかなかにスキャンダラスな背景を持っているが、実際にあったとかどうとかいう点はどうでもよい。こういう娯楽路線は面白いかどうかでしょ?
 本作に出演するのは、主人公をアクション映画の常連であるジェイソン・ステイサム、主人公の師匠であり相棒でもあるベテランにロバート・デ・ニーロ、強敵をクライヴ・オーウェン。この顔ぶれが揃ったのだから濃厚な男汁を頭からぶっかけられるのは覚悟しなければ。男祭りを堪能した後は、性別を問わず青々と無精髭が生えているはず。
 彼らが演じるのは、実力派俳優が扮するに相応しいプロフェッショナル。背景はそれぞれに異なるものの、いずれ劣らぬ腕前を誇る殺し屋だ。

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バッド・カンパニー

amazon:[Blu-ray] ダーク・フェアリー 「ダーク・フェアリー」を観た。
 ガイ・ピアースとケイティ・ホームズは脇をかためているにすぎない。本作の主演はベイリー・マディソンだ。この子役が演じるサリー・ハーストが主人公である。
 配役の妙を云々するより、本作にはスタッフに注目すべき人物がいる。怪奇幻想ジャンルで次々に傑作を物しているギレルモ・デル・トロだ。
 本作はギレルモ・デル・トロが携わっているということで公開を待っていた。彼が四十年近く前のテレビ映画に惚れ込んでリメイク権を手にし、脚本まで手掛けたという。
 本当ならギレルモ・デル・トロ自身の監督作品、それもH・P・ラヴクラフト原作の「狂気山脈にて」を映画化したものを期待していたのだけれど、原作小説のそれとは筋書きを変えろとの製作会社上層部の要求に、ラヴクラフトの信奉者であるギレルモがブチ切れたとのこと。よって夢の企画は頓挫。確かにラヴクラフトの作品においてハッピーエンドなんてあり得ないけどさ。
 そういうわけで不足分のギレルモ・デル・トロ成分を補うべく、本作「ダーク・フェアリー」を観た。
 最近、ギレルモ・デル・トロは製作の仕事に魅力を感じているのか、彼の名前がクレジットされているのは「ロスト・アイズ」や「スプライス」といった若手監督の作品ばかり。これらの作品で渇を癒そうとするも、やはりどこか物足りない。期待値が高まっているのは自覚するが、これは仕方がない。「デビルズ・バックボーン」や「パンズ・ラビリンス」、「ヘルボーイ」シリーズが桁外れに面白いのだから。
 本作も新人監督の手になる。トロイ・ニクシーの本業は漫画家ということだが、初体験の試みは成功したのだろうか?

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