法螺 Archive

四月馬鹿と鋏は

amazon:[文庫] 嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)  4月1日はエイプリルフールということで、インターネット界隈を冗句コンテンツが賑わす一日となるのが、近年の習いである。個人だけでなく様々な組織、特に営利目的のそれである企業までもが、たとえそれが営業活動の一環だとしても、遊び心を存分に発揮する。
 かくして、インターネット上に荒唐無稽なコンテンツが横溢するのが、4月1日だ。つまり明日である。
 冗談の無礼講みたいな一日を、年に一度のお祭り騒ぎを、ただ横目に眺めてやり過ごすのは、いかにも勿体ない。ひとつ、破天荒な嘘でも吐いてやろうではないか。とまあ、こんなことを思うのだが、これが実に難しい。生来が正直者なので、いざ嘘を吐こうにもどうにも勝手がわからないのだ。嘘を吐くのも相応の才能とそれなりの経験が要るのだな、と実感することしきり。

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冷たくて美味しいよ

amazon:[単行本] 妖怪事典  何も考えられないところに行商の声。
 この夏はそれほど長くない人生において最低最悪とことんワースト記録。ストレスで胃は痛み、そこへもってきてこの暑さ。名古屋って最低で最悪。
 知多半島と渥美半島に抱きかかえられるようにして上陸するのは、太平洋上で何もそんなにまでというくらいに温められた空気。これが内陸まで流れ込んで、北部の山並みに流れをせきとめられる。結果、濃尾平野に熱気がこもって、まさに天然サウナ。空気が手に触れそうなくらいにネットリと重い。この暑さが気力と体力をガシガシ削り取る。夏ってこんなに苦しかった?
 ジメジメと鬱陶しいのは暑さだけではない。名古屋という土地柄がどうにも暑苦しい。こんな所に来てしまって、本当に失敗した。
 大学時代から付き合っていた彼が結婚を機に父親の会社に入る。いずれは後を継ぐのだから、と社長夫人のヴィジョンを頭に思い描いたのが大きな間違い。当の会社は別段ショボいわけでもブラックなわけでもなくて、その点に関しては騙されたわけじゃないけど、名古屋に拠点を持つというだけで糞だ。
 まず見世物としか思えない結婚式と披露宴、それにまつわるアレやコレ。でもって何を話してるのかさっぱりわからない。名古屋弁は噂にきくほどミャーミャー鳴くことはないけど、妙に間延びする発音の一方でガチャガチャまくしたてる。東京では訛りを感じなかった夫が、今やわけのわからない言葉を話す。ダガヤって何?
 誰も彼もが個人的な事情を知りたがり、でもって実際に知っている。プライバシーが全然無い。なぜ初対面の人が私の経験人数を正確に知っているの?
 そして見栄っ張り。そのくせケチ。お茶した後のレジ前、財布を手に払うの払わせないの押し問答。でもその実は誰も支払うつもりはない。ホント面倒くさい。
 いやホント、マジで来るんじゃなかった。
 行商の間抜けな声が聞こえる。何を売っているのだろう。イントネーションはおかしな感じだけど、口上はさすがに訛り全開ではない。
 ヤロカァミズ、ヤァロカァミィズゥ。
 てっきり蕨餅かと思っていたのが、ヤロカミズ。やろか水?
 この地域の名産品なのかな。行商で売り買いされるのだから日常で食されるものなのだろう。ういろうみたいなのはイヤだなあ。甘ったるい練り菓子を思い浮かべて、でも涼しげな商品名に期待をしてしまう。暑気払いできるなら何でも飛びつきたい。
 口上が思いのほか家の近くから聞こえて、思わず窓を開いて呼び止めていた。口からスルッと出たのは、自分でも考えもしなかった言葉。

「寄越さば寄越せ!」

なごやかいだん

amazon:[単行本(ソフトカバー)] 怪談 不思議なことの物語と研究 (ワイド版岩波文庫)  怪談を思いついて書き上げたはいいが、なぜか全然怖くない。
 愛知の県民性に題材をとった怪談になるはずが、どういうわけだか苦笑が洩れる出来栄えに。云わば「なんちゃって怪談」だろうか?
 投稿を念頭においていたことは否定しない。だから800字以内におさめたというのに、これではbk1怪談大賞に応募したところで鼻で笑われる内容だ。なぜこんな内容になってしまったのか。「なってしまった」と不可抗力のように書いている時点で、私が文章をコントロールできてないことが明らかである。怪談以外のものになるべくしてなった、というところか。
 仕方がないのでブログで発表する。廃物利用のようなブログである。
 これが2011年における最後の更新となるわけだが、果たしてこれでよいものやら。ブログ再出発の年の最後が廃物利用。2011年を締め括る挨拶をすべきではないのかと考えないではないが、何も思いつかないので廃物利用。エコロジーです廃物利用。廃仏毀釈と語呂が似てなくもない廃物利用。
 なんだかんだで興味のある方は続きをどうぞ。

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セルラー断章

amazon:[DVD] セルラー  映画を観ようと思っていたが、用事が入ってしまった。用事を終えてからでも映画を観るだけの時間はあったのだが、もうそんな気分じゃなくなった。気分屋なのだよ。
 そういうわけで、気分のままに携帯電話をかえてみた。
 かえようかえようと思っていてずっと様子見だったのが、なんとなくの気分でかえてしまった。後悔はしていない。今のところは!
 巷ではiPhone5だのなんだの喧しい。たしかにスマートフォンは携帯端末として新たな体験を私に齎してくれるだろう。今もってスマートフォンで何ができるのかわからないのだが、それだけに期待がふくらむ。詳細はまったく知らないけれど、なんとなく凄そうだ。常温で超伝導できる携帯端末?
 ただし、諸手をあげてスマートフォンにまっしぐら、というわけにはいかない。大きな心配事がある。その心配とは、スマートフォンの料金が現在の定額制から従量課金制に移行するのではないか、というものだ。「定額テイガク、ウヒョヒョヒョホー!」と調子に乗って動画をダウンロードしまくると、後になってとんでもない金額を請求されることになるかもしれない。
 アメリカでは定額制データ通信プランの廃止が進んでいるとのこと。時代ははっきりと従量課金制に移行しているようだ。データ通信を月にどれほど使うかわからないし、料金にしても幾らになるのかわからない。スマートフォンが面白オモチャであるとの認識は揺るぐことはないけれど、維持費が嵩むのは勘弁してほしい。
 君子危うきに近寄らずのヘタレ根性で、このたびはスマートフォンを回避した。

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ウニョ腕繁盛記

 さあさ、みんな手を動かすんだ。グズグズしてるんじゃない。触手も手だよ、動かしな。働けって言ってるんだよアタシは。
 だんな様が永い永いおやすみからようやくお目覚めになるんだ。その前に、こうして浮き上がったお屋敷を隅から隅まできれいにしとかなきゃならない。手抜きは決して許しゃしないよ!
 特にこの大広間はだんな様のお気に入りだ。塵のひとつもあっちゃならないよ! 天窓はきちんと磨いてるかい? だんな様はそこから星辰を眺めるのを好んでおいでだ。磨き残しがあろうもんならアタシの面目が立たない。
 ああ、きれいだ。透き通ってるね。ホラ、見てごらんよ。星辰が正しい位置に並んでる。いつ見ても惚れ惚れする眺めだねえ。
 オヤ、いやだよ。アイツがお屋敷の上を飛び回ってるじゃないか。ここの覇権をだんな様に奪われたもんだから、ああして嫌がらせしていやがるのさ。みっともないったらありゃしない。
 まあ、いいさ。あんなヤツは無視だ。お迎えの準備を済ましてしまうよ。
 お食事の支度はできているだろうね。精を出しなよ。だんな様の舌はとびきり肥えていらっしゃるからね。

 ン? 今、ビチャって音がしたね。ありゃ何の音だい? えっ、アイツがフンを垂れていきやがったって?
 なんてことだい。いいよいいよ、アイツは放っておいて。フンの始末が先さ。だんな様に見つかると一大事だよ。いったいどこに落ちたんだい? グズグズ言ってないで、はっきりおし!
 そっちは大広間じゃないか。まさか......。

 ああ、天窓に! 天窓に!

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