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銀河負け犬分隊

amazon:[単行本(ソフトカバー)] ロケット・ラクーン&グルート (MARVEL)  宿題があった。MARVEL CINEMATIC UNIVERSEも「アントマン」をもってフェイズ2が終了。来年からはフェイズ3が幕を開ける。このブログでは、「アイアンマン」からMCU作品を取りあげてきた。ただひとつの作品を除いて。それが「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」だ。
 原題は「Guardians of the Galaxy」。これをカタカナ読みするだけなら、本当は「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」になるはずなんだけど(だから頭文字をとってGOTGと省略されることもある)、邦題を「銀河防衛隊」だの「俺たちゃ宇宙の愚連隊」だのとするならばともかく、ただカタカナ読みするのにあえて定冠詞「the」を消す理由がわからない。
 ともあれガーディアンズ・オブ・ギャラクシー。生まれた星から種族から外見から、何から何まで異なる、札付きの五人(四人と一本?)がチームを組んで、宇宙の平和を守るンだかそうじゃないンだか。
 チームリーダーはスター・ロード。本名はピーター・クィル。幼少期、しかも母親の亡くなったその日にアブダクションされるという、「宇宙一ツイてない男」。比較的感情移入しやすいキャラクターということで、本来なら地球出身のスター・ロードを取っかかりにして作品への興味を持ってもらう。それが宣伝広報のアプローチとしては常套なのだろう。
 ここ数年、アメリカンコミックの認知度は急速に高まっているものの、アイコンと化している古参キャラクター以外はヒーローもヴィランも区別がつかないのが日本のアメコミ事情。そもそも「ヴィランって何?」という疑問が浮かぶのが実際のところだろう。ちなみに、ヴィランとは「敵」という意味合いで間違いはない。
 だいたいにおいて、MarvelとDCの区別もつかない、というのが一般的な認識の程度だろう。「どうしてアベンジャーズにスーパーマンが出てこないの?」という疑問は、一ツ橋系と音羽系の垣根を越えるくらいに難儀なことなのだが、この比喩は却ってわかりにくいかもしれない。
 週刊少年ジャンプ連載「ONE PIECE」の主人公モンキー・D・ルフィと週刊少年マガジン連載「FAIRY TAIL」の主人公ナツ・ドラニクルは決して顔合わせしないようなものだ。あ、この人選もややこしいか。
 浸透の度合いはともかく、日本においてアメコミ読者やアメコミに興味を抱く向きというのは、ここ数年で着実に増えている。その証拠に、アメコミ翻訳本の刊行点数は急カーブを描いて上昇している。それだけの読者数を見込んでのことだろう。

amazon:[コミック] ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:プレリュード (MARVEL)  今日、「MARVELを代表するヒーロー」といえばいくつもの名前を挙げられる。テレビドラマやアニメ等の映像化が成されたり、ゲーム化されたりと、これまでに様々なかたちで露出のあった彼ら。たとえばスパイダーマンでありX-MENであり、そしてアベンジャーズの面々である。
 これまでに露出のあった彼らとは違って、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーについてはイチから説明されなければどういったチームなのかわからない。まったくイメージできない。
 ただし、この愚連隊にはアイツがいる。そして、ここは日本だ。
 日本には「かわいいは正義」の国是がある。
 開闢以来、森羅万象あまねくマスコット化・キャラクター化がなされるお国柄。動物の擬人化などはお茶の子さいさい。それでもって一定の人気を得られるわけだから、この流れは未来永劫に止められないだろう。
 アイツとはロケット・ラクーン。
 本作の公開当時、テレビCMではまるでロケット・ラクーンが主役のような扱いになっていて、GOTGを知らない向きには「宇宙アライグマの愉快な大冒険!」と思われたかもしれない。だって、スター・ロードが全然出てこないンだもの。
 見た目は完全にアライグマ。そして駄目押しとばかりに「ラクーン」なんて名前も付いている。私たち「あらいぐまラスカル」の洗礼を受けている者にとって、ロケット・ラクーンは愛らしくて庇護すべき存在のように思われるのだが、この異星人はガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面子でも凶悪なことでは人後に落ちない。
 自らの背丈を超すくらいの銃火器を自在に操る、外面如愛玩動物内心如夜叉がこのキャラクターの実際のところ。声を当てているのは、ハリウッドでも色男として知られるブラッドリー・クーパー。このギャップたるや!

 本作の序盤。まずはチームを構成するメンバーの無軌道っぷりを披露する。
 ならず者集団のラヴェジャーズに拾われて、度胸と機転の口先三寸で生き抜いてきた自称「スター・ロード」、ピーター・クィル。彼は養い親でありラヴェジャーズの頭目であるヨンドゥ・ウドンタの儲け話を横からかっさらう。
 廃虚の星に眠る「オーブ」を奪って、仲介人に売りつける心算だったのだが、狙いどおりに進まないのが人生というもの。
 ピーターにとって計算違いといえば何もかもが計算違いだ。ロナンとかいう奴の手下が盗掘の邪魔をするし、オーブを仲介人のもとに届ければロナンの名前に怯えて受け取りを拒否されるし。しかも、オーブを狙う勢力が放った刺客だの、ヨンドゥのかけた賞金目当てのハンターだのが襲いかかってきて。
 銀河の治安維持をはかるノヴァ軍のお膝元、ザンダー星にて騒動を起こした馬鹿ども。全員揃ってノヴァ軍に逮捕拘束される。その後、ピーターを含む無法者たちはキルン刑務所へと護送され、もうひとりの負け犬と邂逅する。

 ここで改めてメンバー紹介。
 ピーター・クィル。ラヴェジャーズの一員。トレジャーハンター。「スター・ロード」の二つ名を持つ。
 ガモーラ。サノスの養女。暗殺機械の如く育てられ、その血塗られた経歴は知らぬ者がない。
 ドラックス・デストロイヤー。ロナンに妻子を殺害され、その復讐に生きる男。
 ロケット・ラクーン。脱獄王。戦術と火器の扱い、技術力の高さは天才のそれ。違法な身体改造手術によって、まるで地球のアライグマの如き姿形を得る。
 グルート。観葉植物。話せる言葉は「I am Groot」のみ。
 これが、キルン刑務所に収監されている囚人の中でも、飛び抜けてイカレている問題児たちだ。
 華々しい経歴? 冗談だろ?
 二つ名を名乗ったところで誰からも相手にされず、盗品を捌いて一攫千金を狙う、ケチなトレジャーハンター。二流も二流、否、三流。それがピーター・クィルだ。
 身内を殺した男に生かされて、暗殺者として鍛えられ、肉体を改造され、その命令通りに生きている。自由を手に入れようとサノスを裏切るも、その結果が囚人だ。これがガモーラの末路だ。
 ロナンに妻子を殺されて、その復讐を果たすために生きているとはいうものの、その実、怒りと憎しみとを抱いていなければ悲しみに押し潰されてしまう。ただただ恨みを抱いて、それで足りている。そんな男だ、ドラックスは。
 脱獄王の意味するところは、その数だけ投獄されているということ。つまり、逮捕歴を誇るただの間抜け。身体改造手術に臨んで、知らぬ間に自ら望まぬ姿へと変えられたのだから、その間抜けぶりがわかるというもの。今の愛らしい姿は、ロケット・ラクーンが望んだわけではない。
 グルートに関しちゃ、ロケット以外に意思疎通できないのだから、社会性の無さは比類のないところ。
 全員が全員、自分のために生きてきて、その結果が積み上がる犯罪歴と囚人たる現状。これまで手を変え品を変えて人生の逆転満塁ホームランを狙うも、振ったバットからは快音ひとつ聞こえない。
 負け犬だ。揃いも揃って負け犬なのだ。

 ピーターらキルン刑務所の問題児のなかには、外的要因が理由で真っ当な価値観を持つに至らなかった者がいる。そうしたことが彼らに逸脱者への道を歩ませ、平穏無事な生涯を送らせないのだとして、けれど今となってはそれが当人の生きる道となったわけで。
 更正施設で新たな価値観を得る機会があっただろう。遵法精神を学ぶ機会を得ただろう。それなのに無法者としての行動原理を手放さないのは、やはりそれは彼らの判断が自ら無法者たるを求めたのだろう。
 ただし、そもそも法と秩序の何たるかすら理解できてない可能性もあるけど。
 とにかく、各々が自分本位に動いて、それでいて全員が最悪な結果へと到達する。星の巡り合わせが悪いのか、敵対勢力が強大すぎて太刀打ちできないのか。ま、両方かな。
 今までのやり方で駄目なら、今までとは違う方法を試すしかない。生き方を丸ごと変えるのは難しいかもしれないけれど。それをしなければ遠からずジリ貧だ。

 賞金首を引き渡して金を稼ぐ。
 オーブを売って一攫千金。
 ロナンを殺して復讐を果たす。
 いずれも我欲のままに掲げた目標だ。ドラックスに関しては復讐が人生の目的となっている。
 告発者を標榜するロナン自身、妄執を胸に滾らせている。時代の趨勢も、それによる関係性の変化も受け入れられない愚者だ。
 ネビュラは姉への劣等感が勝って、たったひとりの肉親を追い詰める。
 味方だか敵だか定かではない状況にあって、ここに挙げた全員が悪い意味での「我が道を行く」を体現している。単純にいえば「自分勝手」だ。
 若い。否、幼い。
 自分のことばかりが頭にあって、視野狭窄に陥っている。その点、サノスやヨンドゥは、善悪は別にして、その懐の深さを感じさせる。

amazon:[Blu-ray] ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド]  金があれば変われるのか? 否、金は何かと引き換えにするだけだ。
 恨みを晴らせば変われるのか? 復讐に意味がないとはいわない。問題は人生をいかに生きるかということ。復讐だけが人生ではない。
 何かを引き換えに金を手に入れて、その金を何かと引き換えにする。そもそも金と引き換えにするものは、手放してよいものなのか?
 目的を果たすために犠牲にするものは、それは喪っても構わないものなのか?
 突きつけられたのは、「どう生きるか」の問い。これ以上ないほど真っ正面からの攻撃。負け犬のままでいたくないのなら、この問いと向き合わなければならない。
 宇宙に浮かぶ天人の頭蓋。「コレクター」ことタニリーア・ティヴァンのもとで語られたオーブの秘密。そして目の当たりにしたその脅威。
 オーブの取り扱いには銀河の存亡がかかっている。それでも個人の事情を優先するのか?
 力を得たロナンは宿願を果たすため、一路ザンダー星へ。さあ、選択の時は来た。成し得るかどうかはともかくそれを為すことに意味がある。ここで退いたら負け犬のままだ。
 敵は強大だが、負けっぱなしは気に入らない。損得勘定抜きの大勝負に己のすべてを賭ける。
 即席だろうと衝突ばかりしていようと関係ない。最後は仲間に己の命運を託す。仲間を信じぬく。
 それがガーディアンズ・オブ・ギャラクシー!

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Comments:2

まっさん 2016年1月 7日 05:59

謹賀新年!
いつもありがとうございます。
ブログラムのmasaです。(http://blog.livedoor.jp/masarin_2005/)
昨年は、応援戴きまして大変お世話になりました。
今年一年が良い年でありますよう祈念致します。
本年も宜しくお願い致します。


サテヒデオ 2016年1月16日 18:42

masa様
 コメントくださいましてありがとうございます。
 こちらこそお世話になりました。なかなか更新することのないこのブログですが、今後とも宜しくお願い致します。

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