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喧嘩するほど仲が良い

 2012年の「アベンジャーズ」でフェイズ1の幕を下ろしたマーヴェル・シネマティック・ユニヴァース。これで終わるかというと然に非ず。抜群の興行収入をあげるドル箱コンテンツとなったからには、資本家はこれを簡単には手放しませんよ。
 大人の事情でマーヴェル・スタジオが扱えないキャラクターを除いても、未だ映画化の手垢のついてないヒーローやヴィランは数知れず。彼らを実写映画化するのは、撮影編集技術の著しく発達した今!
 そういうわけで、Marvel印のヒーローの活躍はまだまだ続きます。

 マーヴェル・シネマティック・ユニヴァースのフェイズ1が「アイアンマン」によって開幕したように、フェイズ2は「アイアンマン3」で開幕した。そしてフェイズ1がそうだったようにフェイズ2が収斂するのもまた「アベンジャーズ」だ。
 シリーズ作品第二弾、「エイジ・オブ・ウルトロン」は2015年の公開予定。今から楽しみである。
 この冬、日本に上陸を果たすフェイズ2作品は、雷神ソーの活躍を描いた「マイティ・ソー ダーク・ワールド」だ。
 アスガルドの王にして七つの世界を治めるオーディン。その息子にして王位の正当継承者であったソーが謀略によって追放され、その地における出逢いから精神的成長を遂げ、自らの使命に目覚めて試練を克服し、勇者となって帰還を果たす。
 シリーズ第一作目は、このように通過儀礼の物語として読み解くことができる。未熟なる狼藉者は力の拠って立つところを知ることで自らを省み、己の責任のもとに重大なる決断を下す。
 重大なる決断を実行に移した際、その行為によって崩壊する虹の橋(ビフレスト)に巻き込まれて、どことも知れぬ時空間へと流れ落ちてゆく「裏切り者」。ソーは"弟"の手をつかみそこねて。
 このときの悔いは、後のチタウリの地球侵攻時にソーの関与を促す。この一大事の裏に暗躍するのはロキ。ジェーンの住む世界を守らなくては。
 それだけではない。今度こそロキを止めなければならない。次こそは"弟"を救わなければ。
 宇宙の彼方から迫り来る危機に際して、地球上における最強のヒーローチーム、「アベンジャーズ」が結成される。

amazon:[Blu-ray] マイティ・ソー ブルーレイ+DVDセット  本シリーズ一作目にせよ「アベンジャーズ」にせよ、ソーに敵対するのはロキである。彼は兄弟としてソーとともにオーディンのもとで育った。
 ロキには偉大なる父王への想いがあり、このロキこそがオーディンの後を継ぐに相応しいとの自負もある。先に生まれたからといってあの武辺者が王位につくのは間違っている。そんなことになればアスガルドばかりでなくオーディンの統べる九つの世界すべてに危難を招く。
 しかし王位継承権はソーにある。これが現実。
 自分が王となるのに、ソーは目の上のたんこぶ。だから、兄を罪に陥れて追放したことも、ロキにとっては当然のことだった。
 森羅万象遍くすべてを見通すというオーディンは永き眠りに入った。空いた玉座には、それに相応しい主がつかなければならない。
 王位継承の障壁となるソーは追放済み。ロキの野望を邪魔する者は存在しないかのように思われたが。
 アスガルドにおけるお家騒動の一方で、ソーが追放されたのはミッドガルドこと地球。彼はそこでジェーン・フォスターと出逢い、二人は異文化交流ののちに恋に落ちる。
 神としての力を失い、力の源泉たるムジョルニアから拒絶され、アスガルド屈指の武人であったソーはただの人間となることを余儀なくされる。そのうえロキが王位についたことを知り、故郷から遠く離れたこの地球で生きることを、ソーは決意する。
 愛する女性がいて、奇妙な友情で結ばれた現地人がいて。今や自分も地球人と変わることがないのだから、地球人ソー・オーディンソンとして生きることのどこに問題があろうか。

amazon:[DVD] バスター・キートン THE GREAT STONE FACE DVD-BOX 【初回生産限定】  ロキは己の出自に関する秘密を知って、王位を継承する資格を持たないことに愕然とする。アスガルドとヨトゥンヘイムの融和の象徴だったはずの子は、オーディンの「息子」としての矜持が強く、だからこそそうではない自分に絶望して。
 生まれついての資格だけではなく、そのうえ人望も風格も自分がソーに太刀打ちできないことを思い知ったロキは、兄と慕った男の抹殺を目論む。ソーの生存を許してしまえば、自分が立ちゆかなくなってしまう。
 ヴァルハラの玉座にあって、孤独の新王は追い詰められていた。
 しかしソー抹殺計画は失敗に終わり、それどころか雷神の復活さえ招いた。ロキとしては最悪の状況となってしまった。
 後の地球侵攻の際もそうだが、ロキは知性に優るあまり謀略に頼りすぎるきらいがある。事実、事態はその途中までロキの予想通りに動くのだが、彼にとっての不安要素が蠢動を始めると途端に歯車が噛み合わなくなる。
 ロキの不安要素。それは「脳まで筋肉でできている、体育会系バカ」である。ソーがまさにそれだし、ブルース・バナーはともかくハルクもまた「脳筋バカ」だ。
 他者を意のままに動かし事態をコントロールするのがロキの常套手段。ジェーン・フォスターの研究指導を務めるエリック・セルヴィグ博士も、「テセラック」強奪と時空の扉を開けるために利用されたひとり。
 しかし、知性派の想像の斜め上を行くのが「脳筋バカ」だ。論理的な思考の帰結とは異なる結論に行き着く彼らに、謀略家ではあるが常識家でもあるロキは振り回されてしまう。
 常識外れに苦労させられる生真面目。この構図ができあがっているのだ。
 どちらの事件にしてもその最終局面においてロキは、力自慢で常識外れの偉丈夫にビッタンビッタンに叩きのめされている。それはもう完膚なきまでに。
 ロキの失墜は喜劇的でさえある。静と動の拮抗が笑いを生むのは、バスター・キートンが証明している。冷静を装う彼が感情をあらわにする場面もあるが、そこに人間味が感じられて。
 ロキの哀しみが胸に迫るので、その罪業にもかかわらず嫌いになれない。
 しかし罪は罪。チタウリの侵攻を退けた後、ソーはロキを連行する。
 ここまでが「アベンジャーズ」終了時点における「マイティ・ソー」関連のアレやコレ。その後、トニー・スタークはアーク・リアクターを胸から外し、アイアンマン・スーツを手放した。そして、新たな英雄譚が綴られる。
 成熟の度合いは増したが、それにしても短慮であり直情径行であるソー。聡明ではあるがそのことに自覚的であり、それ故に他者を見下しがちなロキ。一方は緻密な作戦を立てることが苦手であり、もう一方は想定外の事態に弱い。
 それぞれの至らぬところを互いに補うことのできる二人。最新作「ダーク・ワールド」では、ソーとロキがタッグを組むらしい。因縁と葛藤の「兄弟」タッグ結成となると、こいつは興奮するなあ!

 さて、どうなることやら。

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