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エースをねらえ!

amazon:[Blu-ray] グリーン・ランタン 3D & 2D ブルーレイセット(2枚組)  2012年はアメリカンコミックのスーパーヒーローがこぞって実写映画化され、それらの作品が続けざまに日本に上陸した。Marvelからはスパイダーマンが露払いを務め、そしてスーパーヒーロー揃い踏みのアベンジャーズが旋風を巻き起こした。DCコミックからはダークナイトことバットマンがシリーズの掉尾を飾る雄姿を見せてくれた。監督のクリストファー・ノーランが次に携わるヒーロー映画は、やはりDCがその存在を誇る"鋼鉄の男"、スーパーマンである。
 スーパーマンとバットマン。彼らはDCコミックの二枚看板だが、彼らだけがDCのヒーローではない。MarvelにアベンジャーズがあるようにDCにはジャスティス・リーグがある。その一員に緑色の力を駆使するヒーローがいる。
「グリーン・ランタン」を観た。
 主演はライアン・レイノルズ。ライアン・レイノルズが演じるアメコミのヒーローといえば、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」のデッドプールを思い出す。あちらは、アメコミはアメコミでもMarvelのヒーロー。それでもってワーナー・ブラザーズと20世紀フォックスの絡みもあって、いろいろと大人の事情があるものだから、グリーンランタンとデッドプールが共演することはない。
 そこへゆくとクリス・エヴァンスは拙い。彼が演じるキャプテン・アメリカとヒューマン・トーチは、ともにMarvelのヒーローだ。「アベンジャーズ」のように「キャプテン・アメリカ」と「ファンタスティック・フォー」のクロスオーバー企画が持ち上がったら、一人二役というわけにはゆくまい。クリス・エヴァンス、大ピンチ! どうするクリス? まあ、どう考えてもキャプテン・アメリカを選ぶだろうなあ。いっそのこと、ヒューマン・トーチを殺しちゃう?

amazon:[Blu-ray] 劇場版 エースをねらえ!  宇宙には、その平和と秩序の維持のために活動する英雄の一団がある。その名もグリーンランタン部隊。彼らは宇宙最強の力を有している。
 数十億年前、不死の種族が意志の力を手に入れた。自ら宇宙の守護者をもって任じる彼らは、惑星オアを拠点にして宇宙の安寧秩序を維持する活動を始める。
 活動するにあたり全銀河を3600のセクターに分割。意志の力を帯びた指輪それ自体が、各セクターでメンバーを選抜。恐れを知らぬ者のみがランタン部隊の一員となる。
 地球人ハル・ジョーダンは正体不明の力によって、ひとりの異星人の前まで飛ばされる。ハルが邂逅を果たしたのは、グリーンランタン部隊の一員であるアビン・サー。彼はこのとき既に瀕死の状態にあった。
 命が尽きようとしているからこそ、ランタン部隊きっての勇者は指輪の選びし人材に引き継がなければならないことがある。それは意志、それは平和への思い。
 その意志は任務というかたちをとっている。その任務とは、緑色に光るランタンと指輪に象徴される宇宙の平和維持活動だ。
 アビン・サーとハル・ジョーダンの邂逅に先立ち、全宇宙的脅威が再び蠢動を始める。その名はパララックス。無人の惑星ライウットにおいて、かつてアビン・サーによって施された封印。それが偶然にも解かれた。自由を手に入れたパララックスは脅威となるアビン・サーを強襲し駆逐する。その後、周囲を貪りながら勢力を拡大し、惑星オアを目指す。ガーディアンとグリーンランタン部隊に復讐しなければ!

 意志の強さが力の強さに比例する。グリーンランタンの特殊能力は強き意志を引き出す契機となっているにすぎない。何事も「為せば成る」ではないが、この根性論のような考え方がグリーンランタンの意志の力と結び付いているのは確かだ。このことから、グリーンランタンをカテゴライズするのに「体育会系ヒーロー」の棚に陳列することはあながち間違いではない。なにしろ主人公は、能力の強化を図るために先輩ランタンから猛特訓を受けるのだから。体育会系の上下関係とそこから逸脱しつつも憎めない主人公。
 主人公には不断の努力とそれを為さしめる根性があり、そこには彼を支える仲間との友情がある。ライバルとの切磋琢磨があり、そして強大な敵から勝利を得る。この構造はまさに少年少女を対象にした漫画の王道だ。
 ここで本作について視点をかえてみる。スーパーヒーローの活躍を描いたアメコミではなく、スポーツを題材にした漫画、しかも根性を前面に押し出したいわゆるスポ根漫画と捉えてみる。すると、私の脳裏には伝説のテニス漫画が甦るのだ。
 ハル・ジョーダンは、荒削りながらもそのセンスは創造性に富み、今後の成長を感じさせるルーキーだ。指導者として優秀なアビン・サーは、ハルの才能を見抜いて彼にチャンスを与える。面白くないのはアビン・サーの一番の弟子を自認するシネストロだ。その矜持に相応しい実力の持ち主だがそれだけに新顔の存在に眉を顰める。海のものとも山のものともわからない新人に師匠が目をかけるなんて!
 アメコミヒーローを描いた本作が、設定等の細かい点の差異はともかくとして、どうしても「エースをねらえ!」と重なってしまう。ハル・ジョーダンが岡ひろみ、アビン・サーが宗方仁、シネストロがお蝶夫人こと竜崎麗香。自分でも何を云っているのかよくわからないけれど、ハル・ジョーダンの成長が岡ひろみのそれに重なるのだなあ。アビン・サーはすぐに亡くなるので宗方コーチのようにハルに猛特訓を課すことはないが、宗方仁が岡ひろみにに思いを託したのと同じように、アビン・サーがリングの選んだハル・ジョーダンに宇宙の平和を託したように受け取れるのだ。最期の言葉が「ハル、エースをねらえ!」であったとしても「ああ、なるほどね」と納得してしまうかも。ここまでくると、日頃の疲れで脳が異状をきたしたとしか思えない。

amazon:[大型本] グリーンランタン:シークレットオリジン  熱血スポ根漫画の主人公なら炎のように燃え上がる情熱を表に出して自分と周囲の気持ちをガンガン盛り上げてゆくものだ。そこには努力と根性の熱血相乗効果が見られる。しかし、本作のハル・ジョーダンは違う。湿気ったマッチのようにその心は簡単には着火しない。否、完全に火が消えているわけではない。情熱の燻りはある。ただし、それが大火とならぬよう必死に見張っている少年の姿がハルのうちに見られる。ヒーローたる父親を眼前で亡くして悲嘆にくれる少年が。
 グリーンランタン部隊で血の滲むような特訓を受けるハル。彼は生来の負けん気で能力を開花させてゆくも、それはあくまで提示された課題をこなしてゆくようなもの。できなかったことができるようになることの喜びはあっても、ハルに宇宙平和の実現を成し遂げようとの考えがあるわけではない。彼にランタン部隊の一員としての使命感はない。
 宇宙が平和であることにこしたことはないが、そのために死の恐怖と直面するのは真っ平御免。また、死への恐怖と同じように、グリーンランタンとしての責任の重さに耐えられない。
 本作で描かれる主人公ハル・ジョーダンの成長は、恐怖の克服というかたちをとる。幼い頃、ハルは父親を飛行機事故で亡くしている。テストパイロットだった父親は新型機の飛行テストで命を落としたのだが、ハルはその一部始終を目撃している。このトラウマがハル・ジョーダンの人格形成に大いに影響を及ぼす。
 ここぞというときに恐怖心が頭をもたげる。恐怖にとらわれる自分を笑いとばすように剽軽を装う。死や失敗への恐怖と向き合わず、それが習い性となってしまい、何事にも真剣に取り組まなくなる。事態が深刻になる前に逃げ出す。女性との関係も同じ。深入りする前に別れを切り出す。目指すべき理想を頭に思い描いていても、失敗や挫折への恐怖を拭えない。父親の事故死によってハルのなかで失敗と死とが等号で結ばれてしまったから。そして父親がそうであったように、ヒーローを気取る者は得てして死んでしまうものだ。
 ヒーローに祭り上げられたのは構わない。自分が志願したわけではなく頼まれたからやっているという気安さもある。いずれにせよ、空を飛んだり思ったことを具現化したりするのは楽しい。そこには娯楽性がある。しかし、ランタン部隊の任務はゲームではない。敗北は許されない。ここに至って恐怖がハルの体を包み、この男はまた逃げ出すことを考える。期待を裏切るのは慣れている。そもそも恐れを知らぬ者が指輪に選ばれるハズ。ならば、自分が選ばれたのは間違いだ。俺はヒーローじゃない。

 暗黒の敵と戦うには意志の力が必要だ。意志は行動の原動力。この意志の力を自在に操るグリーンランタンが最強を誇るのも当然なのだ。ただし、最強を誇る意志の力も無敵ではない。
 恐怖は意志を挫く。恐怖は動きを止め、そして弱点を作る。恐怖によって創造物も弱くなる。最終的には命を落とすことにもなりかねないので、恐怖への対処はグリーンランタンには不可欠だ。
 意志を挫く恐怖は一方で力となる。暗黒の敵に対するもうひとつの力は、恐怖だ。恐怖の力は強力だが制御が難しい。下手をすると自滅してしまう。
 恐怖の力はその危険性を勘案したガーディアンによって封印されたのだが、その有効性を唱えるひとりのガーディアンが恐怖の力を操ろうとした。彼自身に邪心はなかったが、その考えは甘かった。件のガーディアンは恐怖の力に飲み込まれて、彼自身が恐怖の化身となった。それがパララックスである。
 パララックスとの衝突で敗北を喫したシネストロは、アビン・サーの仇を討つため、ランタン部隊の不敗を守るため、禁断の業に手を出す。恐怖の力に対抗するには恐怖の力を使うしかない、と。
 グリーンランタン部隊が用いる意志の力は緑色。恐怖を象徴するのは黄色。意志の力のグリーン・リングと恐怖の力のイエロー・リング。ランタン部隊は勿論のこと意志の力を使うのだが、恐れを知らぬシネストロは恐怖の力を制御できると考えている。ここにエリートであるシネストロと己の弱さを心得ているハルとの違いがある。
 シネストロのハルへの態度には、プライドからくる高慢とアビン・サーを介した嫉妬が見受けられる。師であり友であるアビン・サーへの思いが純粋であるだけにその死を受け入れられず、しかしランタン部隊を統率する立場にあるので個人的感傷にひたれない。心の整理のつかない状態にありながら他者にはそれと見られないことが、シネストロの不幸である。エリートであるが故に孤高を自ら強いてしまう。彼自身、孤高を自らに求めている傾向があり、だからそれを保つために恐怖の力を欲したのかもしれない。

 恐怖の力に魅入られたのはシネストロだけではない。黄色の力に触れてパララックスの傀儡に成り果てたのはハルの幼なじみ、ヘクター・ハモンドだ。
 ハルが行動型ならヘクターは思考型だ。これらに優劣はないけれども、ヘクターの父親は行動型の人間を好む。これが"不肖の息子"には悲劇である。熱血スポ根の精神とは正反対の性向を持つヘクターは、その学生時代はスクールカーストで底辺に位置するナード、オタク野郎だった。今もその気質は変わらない。
 オタクは専門分野で能力を発揮することを望む。そして打ち立てた成果に対する称賛を求める。数人の理解者のほかは絵空事としか認められなかった自説が突然に顧みられ、これまで馬鹿にした奴らを見返すチャンスを得た。有頂天のヘクターを次に絶望が襲う。上院議員である父親にお膳立てされた栄誉はその業績を吹聴できず、振り向いてほしい女性の視線は幼なじみに注がれる。自分は馬鹿にされる存在のまま。
 自己存在の喪失に対する恐怖がヘクターをして流されるままの変容を選ばせたのか。流されるのはそもそもの彼の性分か。
 ついぞ力を誇ったことのない者が身に余る力を得て、それをどう用いるかわからず力に振り回される。ランタン部隊の一員としての自覚を持つハルは、力を己の意志によって、つまり理性をもってして力を制御する。それに対してヘクターは本能の赴くままに力をふるう。
 人間を超越した力を得て、そのことによって人生観に変化の生じた二人。スクールカーストでは頂点だったろうハルと底辺に位置していたヘクター。歩んできた道程だけがその本質に影響を及ぼしたわけではないだろうが、一方はスーパーヒーローとなって人々から称賛を浴び、もう一方は醜悪な姿となって人々から蔑視と同情を集める。同じオタクでもヘクターはピーター・パーカーのようにヒーローにはなれず、ヒロインと結ばれることもない。もはや彼らの回想のなかに生きるしか道はない。
 主人公の前に現れた幼なじみは、ドーピングの副作用によってすっかり面変わりしている。変わったのは外見だけではない。極端な勝利至上主義者となっていた。そのこと自体は責められないが、勝つためなら手段を選ばないというのは感心しない。勝利に飢えた者の望みが他者からの評価であるなら(それもまた虚しいけれど)、彼は栄誉ある敗北を受け入れなければならなかった。高みを目指す姿にこそ人は感銘を示すのだ。敗北感だけを募らせて、本当の勝負を避けてきた男が勝ちの目を意識して戦場に立ったところで、その場に相応しい作法をそもそも身につけてない。だからどうしても見苦しいのだ。勝利したところで誰からも賛同を得られないだろう。
 目的と手段とが食い違うところからわかるようにヘクターは舞い上がっていただけ。ただの傀儡。役立たずと判断されれば切り捨てられる。
 苦戦はしたもののヘクターを破ったハルは、次にパララックスとの直接対決に挑む。

amazon:DCクラシック・コンフロンテイション/ ハル・ジョーダン as グリーンランタン vs パララックス スタチュー  ここにひとつの文言がある。グリーンランタン部隊の一員としてその責務を果たし、力を正しく扱うことを誓う言葉。
「太陽の下でも夜の闇でも、いかなる悪をも見逃さぬ。闇の力を崇める者よ。畏れよ、我が光。グリーン・ランタンの光を!」
 恐怖を知る者が強大な力を有する敵と正対するには、相応の勇気が必要だ。ハル・ジョーダンがリングに選ばれたのは、彼が勇気をそなえているからだ。勝利を約束された戦いではないからと後込みせず、勝つために必要だからと過った手段をとらず、正々堂々とルールに則って死力を尽くす。なぜなら誓いの言葉にあるように、それがグリーンランタンなのだから!
 ハル・ジョーダンの戦い方というのは弱者のそれだ。才能はあっても絶対の強さを誇るわけではない。だから常に敗北の恐怖にさらされている。だから勝つための方策を常に考える。死中に活を求めるような豊かな創造性は、恐怖が育んだとも云えようか。
 自らの高慢により恐怖に飲まれたパララックスと恐怖を覚えるたびにそれを克服するハル・ジョーダン。前に進む意志を持ったこの発展途上のヒーローは、だからスポ根漫画の主人公たる資格があるのだ。未熟なのは当たり前。彼は完成されたヒーローではない。失敗と挫折を繰り返して、それでも勇気を奮い起こして 立ち上がる勇者なのだ。

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グリーン・ランタン from 象のロケット 2012-10-16 (火) 02:18
惑星オアに拠点を置く、宇宙警察機構(グリーン・ランタン)は、さまざまな星から選ばれた勇者たちで構成されている。 地球に不時着し絶命した勇者アビン・サーの後...

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