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AVENGERS ASSEMBLE

「アベンジャーズ」公式サイト  この夏、アメリカンコミックの最大手、DCコミックとMarvelのそれぞれの看板をはるヒーローがスクリーンで大暴れ。三本の映画化作品が相次いで日本上陸を果たした。
 まずはMarvelから、優しき隣人が生まれ変わった「アメイジング・スパイダーマン」。次にDCのダークヒーローを代表するバットマンは、クリストファー・ノーランによる三部作最終章の「ダークナイト ライジング」がシリーズの掉尾を見事に飾った。そして再びMarvelからは壮大なサーガの集大成というべき「アベンジャーズ」が公開となり、このヒーロー山盛り映画が日本列島を席巻する。
 後になって振り返るに、2012年の夏は頗るつきに熱かったことをこれらの作品を観るたびに思い出すことだろう。ヒーローとともにあった夏の日のことを。

「アベンジャーズ」公式サイト  燃えたぎる怒りは力となる。怒りに飲み込まれたりふいに萎んだりと扱いは難しいけれど、その力は有用である。
 ロキの怒りは、彼が深淵から掬い上げられた後も晴れることはない。ソーが成し遂げた通過儀礼をロキも体験した。これで二人は同等になったはずなのに、立場においては雲泥の差がある。王者たる自分が統べる領土を持たず、率いる軍隊を持たない現状。自分には何もない。そのことの怒りは凄まじい。
 チタウリの侵攻に際してアベンジャーズは怒っていた。これを企み実践したロキに対して、それを阻止できなかった自分に対して、彼らは怒りを募らせる。自分の了見の狭さに不甲斐なさに怒りを覚える。
 この事件でこれまでに多くの命が犠牲となり、このまま手をこまねいていては人類の存亡すら危うくなる。直前に敗北を喫したが、これは自分たちが組織として機能しなかったことが理由だ。自分たちが負けることで命が喪われ夢を絶たれることを、ひとりの英雄の死に触れて思い知った。
 フィル・コールソンはヒーローを信じた。アベンジャーズの正義と勝利を信じて彼らに希望を託した。友の思いを無碍にするのは、ヒーロー云々ではなく人として如何なものか。生前に応えられなかったことの悔いは残るが、だからこそ彼の思いに命懸けで報いたい。敵が幾万ありとても!
 さあ、雄叫びをあげろ。それは鬨の声。敵に陣容を見せつけろ!

「アベンジャーズ」公式サイト  自分のチームを信じて戦場に送り出した司令官がいる。ニック・ヒューリーは、部下がその能力を十分に発揮できるよう取り計らい、彼らの安全確保に全力を尽くす。時に戦場の外から批判が起こるとその矢面に立ち、あるいは尻拭いをして、徹底的に部下を守る。
 戦場で指揮をとるのはキャプテン・アメリカ。戦況を把握・分析して作戦を立案。兵士の特性によって適材適所の配置を指示する。冷静沈着にして的確な指揮と不退転の意思については、キャプテン・アメリカに勝る者はいない。
 戦況を正しく把握するには優秀な斥候が不可欠。高所よりすべてを見通すホークアイは"地上最強の射手"であると同時に最高の斥候でもある。
 情報収集もさることながら格闘技術の高さも侮れないブラック・ウィドウは、略奪のプロフェッショナルだ。高度な情報戦を制するだけでなく、未知の兵器をも奪って自在に扱う。そのスパイ行為はまさに芸術の高みにある。
 彼ら三人も戦闘能力は低くはないが、アベンジャーズには戦闘に特化したメンバーが三名いる。
「アベンジャーズ」公式サイト  全身火薬庫でありながら機動力に優れ、精密な遠距離攻撃を得意とするのはアイアンマン。空中戦では撃墜王の名をほしいままにする。攪乱作戦にはうってつけ。ただし、その活動には制限があり、胸のアーク・リアクターのエネルギー残量を睨みながらの戦闘となる。
 神の世界の戦上手であるソーは、"神の鎚"ムジョルニアを手に戦場を駆け巡る。ムジョルニアから放たれるのは、命中精度こそ高くないが多数を標的とし威力も申し分ない雷撃と、対象はひとつだが比類なきほど重い打撃。ただし、雷撃は放つまでに時間を要し、打撃はリーチが短い。
 巨大且つ防御不要の強靭な肉体を誇り、その膂力は神をも凌駕するほどの純粋な暴力を生み出す。ハルクに難しい作戦を任せられないが、この巨人は攻防揃った地球最強の存在だ。単純な殴り合いで負けることはない。ただし暴走する嫌いはあるが。
 この三名はその一撃がいずれも必殺のレベルにある。怪物と恐れられるのも宜なるかな。しかし今、人類は怪物的脅威を必要としている。

「アベンジャーズ」公式サイト  メンバーそれぞれの特性から適切な指示を出すキャプテン・アメリカ。仲間に対する関心がなければ、彼らに見合った指示を出せない。知るほどに仲間への信頼の念がいや増す。時代が変わっても不変の真理があることを知って、スティーブ・ロジャースは変わった。だからキャプテン・アメリカの戦い方も変わった。
 自分を活かせる配置と役割とを与えられた。戦場における斥候の重要度を知悉するだけに、自分が信頼されていることをクリント・バートンは知る。洗脳されていたとはいえ裏切った自分を信じて任務を与えてくれる仲間たちに応えようとホークアイは全神経を集中する。ひとまずロキに対する私怨は措いておく。これを晴らすのは後だ。
 人の身の限界を思い知る。ナターシャ・ロマノフは戦場で自分にできることを模索する。そして自分たちのリーダーのように諦めない勇気を自分に誓う。ブラック・ウィドウはたとえ強大な敵を前にしても、もう恐れはしない。
「アベンジャーズ」公式サイト  高機動兵器と化したトニー・スターク。自分は兵士ではない。国のために命を投げ出すのは真っ平御免。けれど、大切な人たちを守るためなら、そして友人の夢を果たすためなら、この命を懸けて悔いはない。実はトニー・スタークも怒っている。アイアンマンの仮面に隠れてはいるが、物凄く怒っているのだ。
 自分に神の驕りはなかったか。ソー・オーディンソンは自分がムジョルニアに選ばれた意味を思い出す。戦いの無意味であることを知りながら、尚も神の鎚が自分の手許にある意味を改めて考える。戦うことが使命なら、それが地球を守ることに繋がるのなら、戦場に雷鳴を轟かせん!
 自己存在の意味について悩んでいたブルース・バナーは戦場にはいない。全きの攻撃力、生ける武神となって戦場を縦横無尽となって駆け抜けるハルクがいるだけ。「スマッシュ!」と指示を受けたのだ。もはや遠慮はない。躊躇もない。正義と破壊は等号で結ばれた。神だろうと宇宙最強の軍隊だろうと、ただただ破壊し尽くす!
 個人の思惑はどうあれ、今は眼前の敵を叩くのみ。戦法の異なる者たちが互いに補い合って、より大きな力を引き出す。単純に加算したのではない、あたかも掛け合わせたかのような想像以上の力を。
 ニック・ヒューリーが成功を信じ、フィル・コールソンが夢みた地上最強の部隊が、その真価を現す。

「アベンジャーズ」公式サイト  背中を預け合う六人の戦士。これだけで鳥肌もの。
 戦闘に入るともう何も云えない。ヒーローたちがそれぞれの持ち味を発揮してスクリーン狭しと暴れまわる。贔屓のヒーローを追うも良し。彼らのコンビネーションに嘆息するも良し。アレもコレもと目移りする間に祭りは最高潮を迎える。夏祭りの最後を飾るのは、やはり特大の打ち上げ花火だ。
 火力担当はアイアンマン。幕引きの核ミサイルを調達して異世界にお見舞いする。気力も体力もアーク・リアクターのエネルギー残量も底をついて、真っ白に燃え尽きる。ポッツと別れの言葉を交わしていたら死んでたな。トニーは死亡フラグを立てずに済んだわけだ。
 ここから先はエンドロールまで伏線の嵐。サノスまで顔を見せて、次作に対する期待値は急上昇!
 最後は、脱力感たっぷりの食事の光景。死ぬような目に遭っても腹は減るのね。もっと消化に良いものを食べればいいのにとも思うが、せっかく大富豪が奢ってくれるのだから文句を云うまい。顔を揃えるのはヒーローをひと休みする六人。背中を預け合った彼らが、今は顔を見合わせている。尤も、疲労の極にあって視線は虚ろだけれど。
 死線を戦い抜いた英雄の姿がどんなものかを私たちは知っている。911を、東日本大震災を経験したことで、身近で偉大なヒーローの実際の姿を知った。エンドロール後のオマケは、雄弁に「ヒーローも人なり」ということを語っている。

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 不退転の前線指揮、キャプテン・アメリカ。
 すべてを見通す眼と百発百中の腕を持つ射手、ホークアイ。
 この女を前にして保てる秘密はない。ブラック・ウィドウ。
 鉄腕撃墜王、アイアンマン。
 百戦錬磨の戦上手。雷の申し子、ソー。
 攻防一体にして地上最強の破壊王、ハルク。
 彼らを率いるのは、行動する深謀遠慮、ニック・ヒューリー。
 その脅威は全宇宙に伝播する。地球人は黙って隷属するような種族ではないらしい、と。あのチタウリを撃退したのだから。
 もはや大量破壊兵器を開発する必要はない。それをも凌ぐ抑止力がこの星には揃っている。返り討ちの覚悟なしにこの星を侵略しようと思う者はいない。
 この抑止力には名前がある。

 アベンジャーズ!

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Comments:2

ウマキング 2012年10月28日 20:21

サテヒデオ さん、こんばんは。

確かに、受付件数を超過していました。
それを気付かず、TBしてすいません。

「アイアンマン3」も楽しみですね~。
何だか、キャプテン・アメリカ風のデザインになっているようですが、
どうなるんでしょうね~。

ではでは。

サテヒデオ 2012年10月28日 23:45

ウマキング様
 コメントありがとうございます。
 たくさんのトラックバックはウマキング様の記事にバリューがあることの証左ですよ。素晴らしい。今後も気軽にトラックバックしてくださいませ。
 アイアンマンスーツがカラーリング自由なのは作中で何度か触れられています。それこそ「アベンジャーズ」でも。青赤白のトリコロールはキャップに譲って、星条旗を掲げない反骨をトニー・スタークには貫いてほしいですね。とにもかくにも「アイアンマン3」は今から楽しみです!

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