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桶屋が儲かる仕組み

amazon:[DVD] ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ  ガイ・リッチー監督作品「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」を観た。
 ここ数年はロバート・ダウニーJr.をタイトルロールに据えた「シャーロック・ホームズ」シリーズでキャリア最高の興行収入をあげたガイ・リッチー。その彼の出世作となったのが本作だ。
 本作でモデルだったジェイソン・ステイサムが俳優デビュー。他にも元サッカー選手のヴィニー・ジョーンズにミュージシャンのスティングが出演する等、一筋縄でゆかないキャストが画面を彩る。
 本作はロンドンの下町を物語の舞台としている。折りしもロンドン五輪会期中だ。これを機会に本作を観るというのも面白いかもしれない。
 オリンピックといえば、開会式のカウントダウン番組に登場したベネディクト・カンバーバッチは、BBC制作のドラマ「SHERLOCK」でタイトルロールを演じており、ガイ・リッチーとは「シャーロック・ホームズ」で繋がりがある。このドラマも要チェックだ。

amazon:[単行本] フィル・ゴードンのポーカー攻略法 入門編 (カジノブックシリーズ)  本作は犯罪映画である。頭から尻まで犯罪しか描かれないのだが、そこに犯罪映画特有の陰惨なイメージはない。むしろ喜劇的要素がふんだんに盛り込まれており、イギリスらしいシニカルな笑いを提供している。シニカルとはいっても、ときにスラップスティックな展開がある。 これらは両立しないわけではない。
 本作に登場する犯罪者は、否、本作には一握りの例外がいるだけで(スティング演じるJD)、登場人物のほとんど全員が何かしらの犯罪に手を染める。北野武監督作品「アウトレイジ」のキャッチコピーが「全員悪人」だが、本作の登場人物も全員が悪人といってよい。彼らは悪人ではあるが、その一方で「男というのはかくのごとく老いも若きもバカな生き物なのだ」と思わずにいられない、どうにも愛すべき存在だ。
 まず発端がバカ。
 悪友四人組のうちのひとりがポーカーに強い。この男に投資して、彼にギャングと賭けポーカーをさせる。ポーカーで勝ってウハウハなんていうのは、まともな勤め人の考えることではない。それもそのはず、彼ら四人のうち正業に就いているのはたったのひとり。レストランで働く彼を除いて、あとの三人はチンピラとしかいえない生活を送っている。
 彼らが底辺の生活からの一発逆転を狙ったこと自体は理解できなくもないしこれを否定するつもりもないが、方法があまりにも安易。ギャンブルに勝って一攫千金だなんて。ギャング相手に勝ち逃げしようなんて。
 この若者たちはわかっていない。頭ではわかっているつもりでも実感が伴ってない。金を賭けるならそれはただのゲームではない。賭け金が高額ならば、勝負の相手が堅気でないならば、尚更だ。
 イカサマは見抜かれなければ存在しない。「手斧」の異名を持つハリーはこのような考えを持ち、この理屈を押し通す男だ。そして借りは必ず返させる男だ。裏切り者の弁明を聞くうちに激怒して、40cmもあるゴム製のディルドでその男を撲殺したという逸話がハリーには残っている。
 かくして、50万ポンドもの大金を借りてはならない男から借りた若者たち。一週間後までに、どうにかして50万ポンドを工面しなければ殺されてしまう!
 そして金と大麻と銃が行ったり来たりのドタバタ喜劇が開幕する。運送料は悪人の命。「悪魔と踊る時は覚悟が必要」というわけだ。

amazon:[Blu-ray] シャーロック・ホームズ 1&2 ブルーレイ・ツインパック(初回限定生産)  ガイ・リッチー作品の魅力は、観ていて伏線とは到底思えないような些細な事柄が後になって大いに意味を持ち、それが起因となって起こる出来事が作中人物を翻弄するところの描写にある、と私は考える。
 この趣向を支えるのがテンポの良いカット割り、時にストップモーションを用いての状況描写である。本作ではロリーの放火にはじまり終盤の銃撃戦、二丁のライフル銃の行方まで、それぞれの登場人物による様々な行動を見事なまでに織り上げた。血みどろのタペストリーは織りの作り上げる美しさが圧倒的で、でもその結末に笑ってしまう。
 展開における語り口の巧みさは、かたちを変えて「シャーロック・ホームズ」シリーズの二作品でも当然のように、しかも手を替え品を替えて使われていて、特に名探偵の用いる演繹的考察を表現するのにピッタリの演出方法となっている。いわゆる"シャドウ ゲーム"がこれに当たり、シャーロック・ホームズとジェームズ・モリアーティ教授が繰り広げる高度な頭脳戦を表現するのに使用された。
 名探偵と犯罪王の最終対決は頭脳戦を経た後、アクションによって終結を迎えた。ガイ・リッチー演出は、テンポの良さと相性のよいアクションに目が向きがちだが、実は「風が吹けば桶屋が儲かる」式の一見すると無関係な出来事の積み重ねから生じる物事の収束にこそ醍醐味があり、監督はこの映像表現に意を用いているのだ。本作では、その持ち味を存分に楽しめる。
 アクションだけを取り上げるなら度肝を抜くような作品はそれこそ星の数ほどもある。その中にあってガイ・リッチーのそれが凡百の作品群に埋もれずにいられるのは、他に理由があるからだ。
 論理とアクションが因果として見事に呼応する面白さ、それこそがガイ・リッチー作品の真骨頂である!

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ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ from 象のロケット 2012-08-05 (日) 21:41
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