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行列のできる館の殺人

amazon:[新書] 奇面館の殺人 (講談社ノベルス)  2012年1月22日と23日の二日間、神保町と池袋でミステリ作家・綾辻行人サイン会が催された。これは講談社ノベルス『奇面館の殺人』刊行記念のイベントである。
 東京では初日が三省堂書店神保町本店、二日目はジュンク堂書店池袋本店がサイン会場であり、どちらも大盛況のうちに終了した。なにしろ綾辻行人の「館シリーズ」最新刊である。
 新本格ミステリの幕開けを告げた『十角館の殺人』から続くこのシリーズは、大いに人気を博している。作者は1987年に『十角館の殺人』でデビューしているので、つまりは「館シリーズ」は四半世紀も続いているわけだ。二十五年で『奇面館の殺人』は9作目、『暗黒館の殺人』から八年、子供向け叢書「講談社ボックス」の一冊として出た『びっくり館の殺人』を加えても六年経っている。シリーズのファンにとって『奇面館の殺人』は、随分と長い間待ち焦がれた一冊なのだ。

 日曜日は曇り空だった。時折、お湿り程度の降雨があったけど傘を持参するほどではなかった。
 サイン会開始の時刻の間際に三省堂書店神保町本店に到着。列に並ぼうかとするも、何やら改めて整理番号札が配られるようで、前もって手に入れていた整理券にホチキスで留められた。そして「16時30分に来てください」と告げられた。
 日曜日の開催ということでこの日に照準を合わせたファンが多かったのだろうか、整理券は追加発券があったにもかかわらず早くに配付終了したようだ。手にした整理番号札は100番を超えていて、だから100番を目安に前後半を決めたのだろう。いったいどれほどの人数の参加者がいるのか?
amazon:[文庫] 十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)  どうにか時間を潰して三省堂書店神保町本店に戻ると、サイン会の列は途切れることなく続き、それを見て「前半と後半に分けたのは長時間並ぶことになる参加者を慮ってのことなのだな」と遅ればせながら気付く。綾辻行人氏は休みなくペンを走らせていたのかもしれない。ただ、ヘビースモーカーで知られるだけに、チョイと一服なんてことがあったかも。
 さて、このサイン会ではどうやら為書きをしてもらえるようだ。ならば時間がかかるのも道理である。これでも綾辻氏の師匠格である島田荘司氏の全力サイン会と比較すると、並んだうちに入らない。これで「遅い!」なんて文句を垂れるのは堪え性がないか腹がゆるくて常に便意を催してるかのどちらかだ。
 三省堂書店神保町本店正面入り口を入ってすぐにサイン会場は設えられ、多くの人が眺めるなかサインをしてゆく綾辻行人氏。これまでにも綾辻氏のサイン会は参加してきたが、「館シリーズ」最新作刊行記念というのは感慨深い。『暗黒館の殺人』刊行記念サイン会も並んだなあなどと記憶を呼び起こしていると自分の順番がそこまで迫る。今回は撮影OKなのか珍しいなとかいろいろ考えているうちに作家の前に立ち、目の前でペンが走るのを見守り、手にサイン本を受け取っていた。

 翌日は雨。ジュンク堂書店池袋本店には開始時刻の18時過ぎに到着。サイン会場は前日と同じように入り口近くに設えられており、その列は地下一階のコミック売り場の壁際をぐるり。こちらは列待機を前後半に分けることなく、参加者は配給を待つロシア人の如くウオッカを呷りながらひたすら並んでいた。
 二時間強並んで、サインを貰ったときは既に泥酔状態。ぐでんぐでんですよ、ハラショーですよ。
 この日も為書きしてもらえたのはありがたく、だから相応の時間が必要だったと納得した。作家と並んで撮影という光景は見なかったけど、ジュンク堂書店では撮影NGだったのかな?

amazon:[Blu-ray] Another 限定版 第1巻  二十五年前のデビュー以来ずっと続くシリーズであり、新本格ミステリを代表するシリーズではあるが、参加者の顔触れを眺めるとまさに老若男女。以前、このブログでもレポートした上遠野浩平氏のサイン会ほどではないにせよ、制服姿の学生を見かけたことを考えると、彼らが生まれていなかった新本格ミステリの時代とそれが生んだ作品群は、少なくとも綾辻行人氏の「館シリーズ」は今もって訴求力を有するのだなと確信した。
 面白いものはいつになっても読まれるのだ。あの頃、新人たちの紡ぐ意欲作に対して、あまりに作り物めいて大人の読書に堪えられないと評した向きは、今はどのように評価するだろう。
 若年層が綾辻氏のサイン会に来る理由として、今月より放映が始まった「Another」の影響は無視できない。無視できないけどそれだけを理由にするべきではない。これは作家の引き出しの多さを高評価すべきである。
 この記事で「館シリーズ」や最新刊『奇面館の殺人』についてその内容に触れないのは、ネタを割らないためである。「館シリーズ」に特徴的な、あるタイプのトリックは、その種類を言及するだけでネタを割ることになる。初読の喜びを味わうには、前もって情報を仕入れないことが肝要だ。だから口を閉ざすのだ。
 まず読もう、『十角館の殺人』から。そして読もう、『奇面館の殺人』まで。次のサイン会ではきっと列に並んでいるはず。それがいつになるかはわからないけど。

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