MESCALINE DRIVE

へのへのもへじ

  • Posted by: サテヒデオ
  • 2012年5月14日 09:09

「フェイシズ」公式サイト 「フェイシズ」を観た。
 主演はミラ・ジョヴォヴィッチ。その美貌は目に力のあるところが特徴として挙げられる。いわゆる瞳美人だ。最近はアクション映画への出演が目覚しい彼女だが、本作ではむしろ暴力的に奪われる"弱い存在"を熱演。これもミラ・ジョヴォヴィッチという女優の器なのだ。
 そのミラ・ジョヴォヴィッチ演じるヒロインは、頭部負傷の後遺症として"相貌失認"を発症する。
 本作のチラシを読むと、"相貌失認"とは「人の顔や表情が判別できない記憶障害の一種」とある。
 京極夏彦『狂骨の夢』の作中人物にやはり相貌失認を発症した女性が出てくる。彼女とアンナとの違いは、その症状があらわれた時期である。
 本作のヒロインは、ある日突然に人の顔を見分けられなくなる。仲の良い友人も愛する恋人も、実の父親さえも正しく判別できない。そしてこれは他人に対してのみ起こるわけではなくて、鏡に映る自分の顔さえも見知らぬそれとして認識する。
 これまで積み重ねてきた経験は、その思い出自体を失ったわけではない。いつ・どこで・誰と・どんなことをしたか、ちゃんと記憶に残っているけど、「誰と」という点でその顔を思い出せないだけ。名前やその人物との関係性はわかるのだけれど、並んでともに笑顔を向けている写真の顔に見覚えがない。

 誰?

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2パーセントの紳士たち

  • Posted by: サテヒデオ
  • 2012年5月11日 22:22

「キラー・エリート」公式サイト  ゴールデンウィーク明けに日本教育会館一ツ橋ホールで試写会が催された。
 そこで「キラー・エリート」を観た。
 監督はゲイリー・マッケンドリー。ラヌルフ・ファインズの『キラー・エリート』を原作に持つ本作は、実際にあった暗殺事件に基づいているという。なかなかにスキャンダラスな背景を持っているが、実際にあったとかどうとかいう点はどうでもよい。こういう娯楽路線は面白いかどうかでしょ?
 本作に出演するのは、主人公をアクション映画の常連であるジェイソン・ステイサム、主人公の師匠であり相棒でもあるベテランにロバート・デ・ニーロ、強敵をクライヴ・オーウェン。この顔ぶれが揃ったのだから濃厚な男汁を頭からぶっかけられるのは覚悟しなければ。男祭りを堪能した後は、性別を問わず青々と無精髭が生えているはず。
 彼らが演じるのは、実力派俳優が扮するに相応しいプロフェッショナル。背景はそれぞれに異なるものの、いずれ劣らぬ腕前を誇る殺し屋である。

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どこへ行くにも風まかせ

  • Posted by: サテヒデオ
  • 2012年5月10日 00:00

amazon:[単行本] ゆうれいのまち (怪談えほん4)  怪談えほん『ゆうれいのまち』を読んだ。
 本書は岩崎書店の「怪談えほん」シリーズの第四弾。文章を恒川光太郎、絵を大畑いくのが担当している。
 このブログでは、怪談えほんのシリーズについてこれまでに二冊を取り上げている。京極夏彦と町田尚子の『いるの いないの』と、加門七海と軽部武宏の『ちょうつがい きいきい』だ。二作ともに32ページという「お手軽な」分量を忘れさせる濃密な読書体験を齎してくれた。
 ただ「見る」という行為がそこにあり、そのことで非在から実在へと立ち位置を変える"その人"。一旦、その実在を受け入れたら最後、脳梁から見下ろされる"気配"を何かにつけて意識せざるを得ない。大いなる呪い、『いるの いないの』。
 身近に迫った死の運命を警告するのは超自然の存在。それらの声を借りて叫びに叫んでも、逃れる術は誰からも与えられない。恐慌のまま走り続けて、それに合わせるように命が軋る。余韻の名は"死"、『ちょうつがい きいきい』。
 恒川光太郎と大畑いくののコンビは、心にどんな爪痕を残すだろうか?

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錆色の叫び

  • Posted by: サテヒデオ
  • 2012年5月 6日 10:10

amazon:[単行本] ちょうつがい きいきい (怪談えほん5)  怪談えほん『ちょうつがい きいきい』を読んだ。
 本書は岩崎書店の「怪談えほん」シリーズ第五弾。文章を加門七海、絵を軽部武宏がそれぞれ担当している。
 怪談えほんのシリーズについてこのブログでは、先に第三弾の『いるの いないの』を取り上げた。たった32ページという少ない分量でありながら、それが突き落とす悪夢は底無し。ものすごい仕掛けだ。
 監修者の東雅夫がけしかけて京極夏彦と町田尚子が完成させた"呪い"は幼い読者にすら有効で、寧ろ無垢な感性にこそ効果的な"呪い"なのかもしれない。「見えないものは存在しない」を裏返して、「見えてしまったからには存在する」という"結論"を読者におのずから導き出させる手口は巧妙で、さすがは京極夏彦というところだ。当代でも随一であろう言葉の魔術師に気鋭の画家が力を貸して、古民家の屋内から心の平安を駆逐した。
 そして我が家は安全地帯ではなくなった。こうなったらどこに逃げ込めばいい?

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角が立ったり流されたり

  • Posted by: サテヒデオ
  • 2012年5月 4日 18:18

「捜査官X」公式サイト 「捜査官X」を観た。
 金城武とドニー・イェンが共演。日本でも活躍する金城武と、アクション映画好きならばその名を知らぬ者のないドニー・イェン。二大スターと表してちっとも大袈裟ではない。
 この二人が魅せるのは、ドラマか? それともアクションか?

 1917年の雲南省。山奥の村を二人の男が訪れた。見たところ武術家の二人は両替商を襲う。
 事件らしい事件の起こらない村に死体が出た。それも二体。いずれも異邦人のものだ。
 暴力に物を云わせて金を奪おうとした二人組は、しかし店に居合わせた紙職人の抵抗に遭い、そのさなかにいずれもが頭部に打撃を受けて、いずれも打ち所が悪くて死んだようだ。
 二人の死人が出る修羅場をくぐり抜けたにもかかわらず軽傷を負っただけで済んだ紙職人は、無我夢中で強盗のひとりにしがみついてそのまま放さなかったと語る。知らないうちに強盗が倒れていた、と。
 二人の変死があったことで村には知事をはじめ官憲の手が入る。
 検死のさなか、ある発見が。体に残った刺青から、この二人組が札付きの悪党で指名手配中の逃亡犯であることが明らかとなる。
 ここに至って紙職人は英雄になる。指名手配犯を二人も倒したのだから。彼自身は、懸命になって止めようとしただけと謙遜するが、悪い気はしないようだ。
 気の優しくて村内の評判も良い紙職人の名はリウ・ジンシー。彼に疑いの目を向けるのは、捜査官シュウ。

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活字の国の人だから

  • Posted by: サテヒデオ
  • 2012年4月28日 20:20

 インターネット書店のbk1がこのたび五月中旬をもって電子書籍販売サイトのhontoと合併、hontoとして再出発することとなった。bk1の名前が残らないところをみると、吸収されるものと考えるべきか。
 私は都心の大型書店に気軽に気軽に足を運べるものだから、本を通信販売で購入しようとは思わない。店頭で見つけられないような本を買うくらいだ。
 私はbk1の良い客ではなかった。
 こんな私だがbk1に思い入れがないわけではない。
 この十年、毎年初夏の頃に開催される「ビーケーワン怪談大賞」、通称「てのひら怪談」のコンテストを楽しみにしていた。
 このコンテストは、実話と創作とを問わず、"怪談"であること、800文字という字数制限、これらを満たせばどんな内容でも構わないというもの。なかなかに懐の深い、しかし一筋縄でゆかない募集要項だ。
 800文字という外枠は決まっている。このフレームから如何に怪異を望むのかが書き手の頭を悩ませるところ。全体を収めるのか、目に入った一部を抜き書きするのか。たった800文字が「怪談」としての在りようを決める。
 頭を悩ませ苦労するのはなにも書き手ばかりではない。「ビーケーワン怪談大賞」の選考委員はその全員が送られてきた全応募作品を読むという。そのすべてに評価を下すわけだから(それが「評価に値しない」という評価であっても!)、これは大変な作業だ。
 2012年は「ビーケーワン怪談大賞」にとって記念すべき第10回となる。これはどんな盛り上がりを見せるだろうかと期待していたのだが、ここに至ってそれどころではなくなった。
 bk1の名前は消滅することになり、「ビーケーワン怪談大賞」は昨年の第9回をもって終了となった。
 今年は記念すべき第10回ということで挑戦を考えていたのだが、出鼻を挫かれたかっこうだ。
 それはともかく!
 bk1の終焉が意味するのは、娯楽嗜好品の"本"が買われなくなったということなのだろうか?

 紀伊國屋書店新宿本店で催された皆川博子先生サイン会に参加した。

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バッド・カンパニー

  • Posted by: サテヒデオ
  • 2012年4月25日 11:11

amazon:[Blu-ray] ダーク・フェアリー 「ダーク・フェアリー」を観た。
 ガイ・ピアースとケイティ・ホームズは脇をかためているにすぎない。本作の主演はベイリー・マディソンだ。この子役が演じるサリー・ハーストが主人公である。
 配役の妙を云々するより、本作にはスタッフに注目すべき人物がいる。怪奇幻想ジャンルで次々に傑作を物しているギレルモ・デル・トロだ。
 本作はギレルモ・デル・トロが携わっているということで公開を待っていた。彼が四十年近く前のテレビ映画に惚れ込んでリメイク権を手にし、脚本まで手掛けたという。
 本当ならギレルモ・デル・トロ自身の監督作品、それもH・P・ラヴクラフト原作の「狂気山脈にて」を映画化したものを期待していたのだけれど、原作小説のそれとは筋書きを変えろとの製作会社上層部の要求に、ラヴクラフトの信奉者であるギレルモがブチ切れたとのこと。よって夢の企画は頓挫。確かにラヴクラフトの作品においてハッピーエンドなんてあり得ないけどさ。
 そういうわけで不足分のギレルモ・デル・トロ成分を補うべく、本作「ダーク・フェアリー」を観た。
 最近、ギレルモ・デル・トロは製作の仕事に魅力を感じているのか、彼の名前がクレジットされているのは「ロスト・アイズ」や「スプライス」といった若手監督の作品ばかり。これらの作品で渇を癒そうとするも、やはりどこか物足りない。期待値が高まっているのは自覚するが、これは仕方がない。「デビルズ・バックボーン」や「パンズ・ラビリンス」、「ヘルボーイ」シリーズが桁外れに面白いのだから。
 本作も新人監督の手になる。トロイ・ニクシーの本業は漫画家ということだが、初体験の試みは成功したのだろうか?

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勝利こそが一番のファンサービス

  • Posted by: サテヒデオ
  • 2012年4月24日 17:17

amazon:[Blu-ray] マネーボール プレミアムエディション(初回生産限定)  日本プロ野球も2012年の開幕を迎え、連日のように熱戦が繰り広げられている。今シーズン、我らが中日ドラゴンズは監督が落合博満氏から高木守道氏へと代わり、三連覇という大事業の実現を目指す。前任者の落合博満監督は球団初の連覇を成し遂げた。続く高木守道監督は果たして三連覇を実現できるだろうか?
 高木守道氏は穏やかそうに見えるが、あれで実はむちゃくちゃ短気だという。今シーズンはキャンプから時間を設けてサインに応じたり出迎えたりとファンサービスを積極的に行ってきたが、その結果がナゴヤドームの観客動員数に表れてないとぼやいているようだ。結果を求めるのが早すぎるだろうに。こういうのは長い目で見なければ。
 野球ファンには貧打でお馴染みのドラゴンズ打線だけに、高木監督は我慢の用兵を続けられるだろうか心配である。

 ブラッド・ピット主演作品、「マネーボール」を観た。
 ブラッド・ピットが演じるのはオークランド・アスレチックスのゼネラルマネジャー、ビリー・ビーン。監督のアート・ハウを演じるのはフィリップ・シーモア・ホフマンだ。
 2001年のポストシーズン、アスレチックスはニューヨーク・ヤンキースとディビジョンシリーズで戦った。選手年俸の総額は、3972万2689ドルのアスレチックスに対してヤンキースはそれを優に上回る1億1445万7768ドル。その差が試合結果に反映したかのようにアスレチックスは敗れた。
 そして翌シーズン、アスレチックスは看板選手を三人も失うことが明らかとなっていた。選手を一流に育てても、そういう選手は自らの価値に見合ったギャラを支払ってくれる球団へ移籍する。
 資本主義の現実を受け入れなければならないとはいえ、悔しい気持ちは隠せない。貧乏球団は金持ち球団のための選手育成組織ではない!

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掟も綻びも定めのもとに

  • Posted by: サテヒデオ
  • 2012年4月23日 00:00

amazon:[Blu-ray] ウォンテッド【Blu-ray ベスト・ライブラリー100】 「ウォンテッド」を観た。
 監督はティムール・ベクマンベトフ。主演のジェームズ・マカヴォイがたっぷりとアクションを見せる。アンジェリーナ・ジョリーが主人公の"運命の女"たる殺し屋を演じ、モーガン・フリーマンが暗殺組織のリーダーを貫禄たっぷりに演じる。

 ウェスリー・ギブソンは日常に倦んでいた。
 会社で顧客管理担当の仕事を務めるウェスリーは、上司の嫌がらせにひたすら耐えていた。同棲中の恋人は彼の同僚と浮気を繰り返し、そのことにウェスリーは気付いていた。住環境は劣悪で貯金額は僅か。明日は糞みたいな今日の繰り返し。日常はいつまでもウェスリーを苦しめて圧し潰す。
 ウェスリーはストレスを感じるとその感覚に変化が生じる。動悸がどんどん速くなり、それにつれて眼に映るものの動きが遅くなる。この症状を抑えるため、彼はパニック障害の薬を服用している。
 ある夜のスーパーマーケット、ウェスリーがいつものように薬を処方してもらっていると、二人の人間と目が合った。そのときから彼の人生は変わった。まさに急転直下で。

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本日はお日柄もよく

  • Posted by: サテヒデオ
  • 2012年4月21日 07:07

「REC/レック3 ジェネシス」公式サイト  神保町は日本教育会館一ツ橋ホールにて「REC/レック3 ジェネシス」を観た。
 前二作を監督したジャウマ・バラゲロは本作では製作にまわり、前二作でも監督として名を連ねていたパコ・プラサが単独で監督を務める。ジャウマ・バラゲロの名前に注目していたから、パコ・プラサなんていう文字列に気付かなかったよ。
 本シリーズは、ゾンビを彷彿とさせる感染と変容の恐怖を題材にしたホラー映画である。第一作はわけのわからないまま逃げ回るしかなかった観客も、第二作で異常事態の真相を知る。
 狂犬病のような凶暴化と比類なき感染力の強さは、それが"悪魔憑き"の脅威だという。
 ブードゥーの秘術や宇宙線、化学兵器といった理由付けがゾンビ作品には為されてきたが、ついに悪魔を担ぎ上げたか。"悪魔憑き"の新たな表現を生み出したのは素晴らしいことだが、"悪魔憑き"だけに次の展開は"悪魔祓い"になってしまうのが予測できて、それはゾンビ型ホラー映画からの離脱を示すようで、このタイプの作品を好むだけに勿体なく感じる。
 シリーズ三作目は神の使徒が悪魔とその傀儡と対決するものと予想していたのが、舞台は結婚式場という。
 純白のウエディングドレスが鮮血を浴びて深紅に染まり、花嫁がケーキカットナイフをチェーンソーに持ち替えての大立ち回り!
 えっ、ナニそれ?
 何がどうして大転回。よくわからないけど余興に「てんとう虫のサンバ」を歌うことになっちゃった。

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